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『プリズン・サークル』の上映会に参加して


ノンフィクションの受刑者再生の物語!幼少期の心の傷

私は日本の刑務所に初めて導入された「回復共同体」という

刑務所があることを今日、知った。

 

そこは島根県浜田市にある「島根あさひ社会復帰促進センター」である。

2008年に開設された新しいタイプの刑務所で、

心理や福祉の専門家が支援員となって、

「TCユニット」とという独自な更生プログラムを実施している。

 

TCとは「Therapeutic Community(セラピューティック・コミュニティ)」の略で、

日本語で「回復共同体」という意味だそうだ。

TCユニットに参加したメンバーは互いに影響を与え、

新たな価値観や生き方を身につけることで、

人としての正常な思考や感情を取り戻す力となっているように感じた。

 

いわゆる刑務所といえば、

罪を犯した者が「罰を受ける場所」と思ってしまうが、

島根あさひでは、詐欺、強盗、傷害致死といった、

比較的軽犯罪で入所した受刑者たちが、

他の受刑者や支援員との対話を通して自らの犯罪の原因を掘り下げ、

一人の人間として再生していくことを目指している。

私は「対話」重要性を再確認した。

 

普段、刑務所では私語は禁止が原則であるが、

TCユニット内では、受刑者達に積極的に対話することを促している。

その結果、本当の自分と向きあうことを避けてきた受刑者たちの

心が少しずつ解きほぐされていき、

「なぜ自分がここにいるのか」が見えるようになっている。

 

この映画の監督坂上香さんは、ある記者との対談で、

この社会はあまりにも「話す」ということを軽視している。

また話さないから問題が見えないという面もあり、

話せばこれだけ出てくるが、これは氷山の一角で、

もっと重罪の人を対象としたら、語られる内容はもっとすさまじいと思うし、

そういう意味では、

もっと違うレベルの刑務所でもTCを導入すべきである、と言われた。

そして、虐待やいじめは、みんな多かれ少なかれ体験しているし、

いじめの問題は根深くて、被害者だった者が加害者になったりもしている、

話されていた。